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働く女性

人事の仕事には経験が必要

机上と実践の差異

人事の仕事を円滑に進めるためには、机上でいくら勉強をしていてもそれだけではうまくいきません。
先日ある有名コンサルタントさんの本を読んでいて、
非常に興味深いエピソードが紹介されていたので、そのことについて感想などを少し書いてみたいと思います。

エピソードの舞台はとある中規模の製造企業です。
そこでは、創業者である社長さんのほか、
長男が現場の人事管理責任者として仕事を仕切る立場にありました。

その企業はある部品を製造することを業務内容としていましたが、
実際に現場で部品の組立を行う人員のほとんどはパートとして勤務をする女性でした。

社長さんは創業時よりそうしたパート従業員さんの働きのことを
企業活動において重要な役割を持つものと認識しており、
かなりその働き方などには注意をしながら見守ってきました。

その企業が円滑にパート従業員を統率することができていたのは、
長年勤務をしてくれているあるベテランさんの存在があったことも大きな要素でした。

仮にそのパートさんのことをAさんと呼びますが、
Aさんご本人は結婚されていて既に子供も大きく、
家族を朝送り出してから出勤するというパート勤務を長く続けてきました。

創業時には特に定めていなかったパート内の上下関係も、
Aさんがとても仕事ができることから自然とグループリーダーという制度に形作られていったのです。

ところがある日を境にAさんのリーダーとしての統率力が落ちてきました。
それまではどのグループよりも生産性の高かったAさんのグループは落ち込み、
しまいには無断欠勤をするような事態にまで発展していってしまったのです。

当時現場監督責任者であった社長の息子さんは、
人事の勉強やセミナーにかなり熱心に通っていたため、
何度もAさんに対し習った通りの励ましや叱責の言葉をかけました。

ところがそのような注意喚起にもかかわらずどんどん状況は悪くなっていき、
困った息子は社長にAさんのリーダー降格を相談しにいきました。

そこで社長さんは事情もよく調べず一方的にAさんの働きを
「怠けている」と決めつけた息子をかなり厳しく叱りつけたのです。

のちにAさんの事情を詳しく聞き出したところ、
実はAさんのグループに新しく入ってきた人は、
Aさんの旦那さんと同じ企業で働く上司の奥さんだったのです。

働く人のことを第一に考える

人事の仕事においては、
マニュアルなどに書かれていることだけをすればうまくいくものではありません。

実際に働いているのは「人」なのだということを忘れず、
じっくり観察していく目がなければうまく人材を活かすことはできないのです。