人事のコンプレックスが判断に影響する
人事の仕事において最も業務の肝となるのは、
短い時間の中でその人の本心や考えていることを見抜くことができるかどうかです。
しかし、どれだけ経験を積んだとしてもたった数分の間に
会話をした相手の本心を見抜くことはかなり難しいことですし、
実際にこれまで個人的な判断で行なってきたことが大外れをして
会社内の人間関係に影響を与えてしまったようなこともあります。
そこで私なりにいろいろ反省の念をこめて考えたり勉強をしてみたのですが、
そうした会話する相手の人格の読み違えというのは実は相手の態度がどうというよりも、
面接をする私達人事部の方により多くの問題が内包されているということが多いようです。
例えばここ最近になって急激に業務において英語能力の高低が問われるような社会的な風潮ができてきました。
私はまだ30代なので微妙な世代ですが、
これが40~50代になると学校ではそこそこに英語の成績は取れていたけれども、
実際に会話能力を問われる場面になると萎縮して話ができなくなってしまうという人が大量にいたりします。
そうした人にとっては「英語を話せる」かどうかは非常に自分のコンプレックスに関わる問題となるため、
他の資質はどうであってもとりあえず英会話ができるということを
人として優秀と見てしまう感覚がどうしてもあるように思えます。
確かに英会話の能力は今後の企業の拡大などを考えれば必要不可欠なものと言えますが、
だからといって英語さえ話せれば他はどうでもよいという基準になってしまうのは
かなり問題が大きいことではないかとも言えます。
人事の思い込みから判断ミス
同様に、英語以外にも他の余計な要素によって判断を誤ってしまうという例もたくさんあります。
私自身は嫌いなのですが、
どうも世間的には血液型や星座などによってその人の内面をはかろうという動きがあるようで、
「B型だからダメだろう」とか「一人っ子だからわがままだろう」
といったような環境によってその人の人格にレッテルを貼ろうとする意識がかなりはたらいています。
こうした本人の資質と関係ないところで行われる切り分けは実はかなり根深い影響ともなっており、
それがあるために判断を誤ったり、おかしな配置先を決めてしまったりということもよくあります。
人事部に勤務し、少しでも会社に適した人材を採用しようと思っている身としては
そのような先入観による間違いを侵さないためにも、
まずは自分自身のコンプレックスと向き合う必要があるのではないかと考えています。